ラウドネスの測り方と配信・放送の基準

LUFS/RMS/VU/Peak/PLR/LRA ・ LUFSの仕組み ・ True Peak ・ 配信と放送の基準 ・ 大きく作るとどうなるか

見ている数値

Integrated
(LUFS-I)
曲の頭から終わりまでを通した、平均的な音量感。「I」はIntegrated(積算)の頭文字。配信サービスのノーマライズはこの値を基準にする。
Short-term
(LUFS-S)
直近3秒の音量感。サビや展開ごとの大きさを見る。
Momentary
(LUFS-M)
直近0.4秒の音量感。瞬間的な盛り上がりを見る。
RMS一定時間の平均的なレベル。周波数による重み付けがないので、低域が多い曲ほど大きく出やすい。LUFSは人の聴こえ方に合わせた重み付け(K-weighting)をしている。
VUアナログ時代からある平均値メーター。針の反応は約300 msとゆっくりで、耳で感じる大きさに近い動きをする。0 VUを基準レベルに合わせて使う。
Sample Peakサンプル値の最大。サンプルとサンプルの間で生じるピークは見えない。
True Peakサンプルとサンプルの間で生じるピークも含めた、実際の最大値。
PLRピークとラウドネスの差(Peak to Loudness Ratio)。大きいほどダイナミクスが残っている。
Crest FactorピークとRMSの差。大きいほどトランジェント(アタック)が残っている。PLRのRMS版のような指標。
LRA曲の中での音量の振れ幅(Loudness Range)。

※ LKFSとLUFSは同じもの。LKFSは国際規格(ITU-R BS.1770)、LUFSはヨーロッパの放送規格(EBU R128)での呼び方で、数値もそのまま同じ。

LUFSの仕組み

20501002005001k2k5k10k20k+60-6-12Hz
K-WEIGHTINGLUFSの重み付け(おおよその形)
低域は軽く、高域は少し重く数えられる。同じRMSでも、低域が多い曲はLUFSでは小さめに出る。
  • 重み付け:人の耳は低域を小さく、2 kHzあたりから上を大きく感じる。LUFSはそれに近づけるため、低域を下げ、高域を少し持ち上げてから測る(K-weighting)。
  • ゲート:Integratedは、無音や極端に小さい部分を計算から外す。-70 LUFSより小さい部分と、全体の平均より10 LU以上小さい部分が除かれる。静かなイントロが長くても、数値が下がりすぎない。
  • LU:2つのLUFSの差を表す単位。1 LU = 1 dB。

True Peakが生まれる理由

SAMPLE PEAKTRUE PEAK
INTER-SAMPLE PEAKサンプルの間で生まれるピーク
黒い点がサンプル値、朱色が再生時に復元される波形。点はすべて点線の中に収まっていても、点と点の間で波形が上に飛び出すことがある。
  • デジタル音声はサンプル(点)の集まりで、再生するときに点と点の間を滑らかにつないで波形に戻す。
  • そのため、点の値が0 dBFSに収まっていても、つないだ波形が0 dBFSを超えることがある。これがインターサンプルピーク。
  • MP3やAACに変換するときにも波形が変わるので、ピークが増えやすい。True Peakに余裕を持たせるのはこのため。

配信サービスの基準

Spotify-14 LUFS(標準)。Premiumでは「大」-11/「小」-19も選べる。
YouTube-14 LUFS前後。
Apple Music-16 LUFS前後(サウンドチェック)。
Spotifyの場合
  • -14 LUFSより大きい音源は、音量を下げて再生される。下げるだけなので、歪みは増えない。
  • 小さい音源は持ち上げられるが、True Peakに1 dBの余裕を残す範囲まで。例:-20 LUFS/True Peak -5 dBの曲は、-16 LUFSまでしか上がらない。
  • True Peakは -1 dB以下が推奨。-14 LUFSより大きく作る場合は -2 dB以下。圧縮フォーマットに変換したときの歪みを防ぐため。
放送の基準
日本(ARIB TR-B32)-24 LKFS
ヨーロッパ(EBU R128)-23 LUFS
アメリカ(ATSC A/85)-24 LKFS

大きく作るとどうなるか

-20-16-12-8-40APPLE -16SPOTIFY / YT -14例 -8-6 dBLUFS-I
NORMALIZEマスターの音量と配信の基準
点線が配信サービスの基準。たとえば -8 LUFSで作った曲は、Spotifyの標準設定では約6 dB下げて再生される。

大きく作っても、再生時には下げられる。下げられたとき、PLRが小さい(潰れた)音源ほど迫力が落ちて聴こえやすい。

※ Webプレーヤーや一部の外部機器ではノーマライズがかからない。マスターの音量そのものが聴こえる環境もある。