ACE COOL『Haigamine』の音を測る

作品データ ・ ラウドネスとピーク ・ アルバム内の揃い方 ・ Sample PeakとTrue Peak ・ 帯域バランス ・ マスタリングで変わったこと ・ 帯域ごとの変化 ・ ピークの抑え方 ・ 計測方法

作品データ

作品ACE COOL『Haigamine』(3rdアルバム・全9曲)
リリース2026年9月16日
録音・ミックスOzzyOtaki(EVOEL STUDIO)
マスタリングMike Bozzi
計測した音源マスターWAVと、マスタリング用に渡したミックスWAV(いずれも24bit/48kHz)

ラウドネスとピーク

No.曲IntegratedShort-term 最大True PeakPLRLRA
01Shakunetsu-8.4-7.2+0.99.312.2
02Nakatani-8.8-6.4+1.610.59.1
03Netero feat. Bonbero-8.5-6.2+1.29.72.1
04Yoake feat. BFN TOKYOTRILL-8.3-6.7+0.89.13.6
05Nosh Freestyle-8.6-7.8+0.59.11.8
06Katagi feat. Jinmenusagi-8.7-7.4+1.09.83.1
07AM 4:00-8.7-6.9+0.39.06.1
08Hanabi feat. JC-8.6-6.3+0.28.95.8
09Tenjo feat. Siero-8.7-6.2+1.19.88.4

単位:Integrated・Short-termはLUFS、True PeakはdBTP、PLR・LRAはLU(dB)。Sample Peakは全曲 -0.25 dBFS。

-10-8-6-4-20+201Shakunetsu02Nakatani03Netero04Yoake05Nosh Freestyle06Katagi07AM 4:0008Hanabi09Tenjo0 dB
LOUDNESS / TRUE PEAK9曲のラウドネスとピーク
黒がIntegrated(LUFS)、朱色がTrue Peak(dBTP)。間の線の長さがPLR。

アルバム内の揃い方

  • Integratedは9曲すべて -8.3〜-8.8 LUFSに収まっている。曲ごとの差は0.5 LU以内で、アルバムを通して聴いても音量感がほぼ変わらない。
  • Sample Peakは全曲 -0.25 dBFSで揃っている。
  • True Peakは +0.2〜+1.6 dBTP。サンプル値は0 dBFSの手前で止まっていても、サンプルとサンプルの間では0 dBFSを超えている。
  • PLRは 8.9〜10.5 dB。

Sample PeakとTrue Peak

  • Sample Peak:記録されているサンプルの値の最大。全曲 -0.25 dBFSで、0 dBFSは超えていない。
  • True Peak:サンプルとサンプルの間をなめらかにつないだ波形(再生時にD/Aで戻される波形)の最大。サンプルの間に山ができると、サンプルの値より大きくなる。
  • 下の図はNakatani(0:46付近、右ch)。並んだサンプルはどれも -0.25 dBFS以下だが、そのあいだをつなぐ波形は +1.6 dBTPまで上がっている。
  • 0 dBTPを超える部分は、D/AやMP3・AACへの変換のときに歪むことがある。
0 dBFS-0.25True Peak +1.6 dBTP0.35 ms(サンプル約17個分)
SAMPLE PEAK / TRUE PEAKサンプルの値と、つないだ波形
白丸がサンプル、黒の線が8倍に補間した波形、朱色の点がTrue Peak。

帯域バランス

01Shakunetsu02Nakatani03Netero04Yoake05Nosh Freestyle06Katagi07AM 4:0008Hanabi09Tenjo31.5631252505001k2k4k8k16kHz(オクターブ帯)
SPECTRUM帯域ごとのエネルギーの配分
濃いほどその帯域のエネルギーが大きい。朱色の枠が、その曲で一番大きい帯域。
  • 9曲中8曲で、一番エネルギーが大きいのは125 Hzより下の帯域(31.5 Hz帯か63 Hz帯)。
  • 31.5 Hz帯が一番大きい曲:Netero、Nosh Freestyle、Tenjo、Katagi。808などのサブベースの成分が強い。
  • 63 Hz帯が一番大きい曲:Shakunetsu、Yoake、AM 4:00。Nakataniは31.5 Hz帯と63 Hz帯が同じ。
  • Hanabiだけは125 Hz帯が一番大きく、低域の重心が少し上にある。
  • 16 kHz帯は全曲で一番小さく、一番大きい帯域から23〜31 dB下。

Bozziのマスタリングで変わったこと

No.曲ミックスマスター上げ幅True PeakPLR
01Shakunetsu-18.0-8.4+9.6-4.9 → +0.913.1 → 9.3
02Nakatani-19.3-8.8+10.4-5.3 → +1.614.0 → 10.5
03Netero-19.1-8.5+10.6-5.3 → +1.213.8 → 9.7
04Yoake-18.4-8.3+10.1-4.7 → +0.813.7 → 9.1
05Nosh Freestyle-16.6-8.6+8.1-4.8 → +0.511.8 → 9.1
06Katagi-17.7-8.7+9.0-4.8 → +1.013.0 → 9.8
07AM 4:00-20.9-8.7+12.2-5.9 → +0.315.0 → 9.0
08Hanabi-20.5-8.6+11.9-5.1 → +0.215.4 → 8.9
09Tenjo-18.8-8.7+10.1-4.6 → +1.114.2 → 9.8

単位:ミックス・マスターはIntegrated(LUFS)、上げ幅はLU、True PeakはdBTP、PLRはdB。

  • 音量は各曲8〜12 LU上がり、ミックスでは4 LU以上あった曲ごとの差が0.6 LU以内に揃っている。
  • True Peakはミックスでは全曲 -4.6〜-5.9 dBTP、マスターでは +0.2〜+1.6 dBTP。-0.25 dBFSちょうどで止まっているサンプルは、ミックスではほぼ0、マスターでは1曲あたり4,086〜45,648。
  • PLRは2.7〜6.6 dB小さくなっている。LRA(曲の中の起伏)は多くの曲でほとんど変わらず、Shakunetsuの大きな起伏はミックスの段階からあった。大きく縮んだのはNakatani(-2.8)とTenjo(-2.2)。

帯域ごとの変化

ミックスとマスターを同じ音量にそろえたうえで、1/3オクターブごとの平均の大きさを比べた。プラスはマスターで強調された帯域、マイナスは抑えられた帯域。

-2-10+1+231.5631252505001k2k4k8k16kHz(1/3オクターブ)dB
EQ CHANGEマスター − ミックス(9曲)
朱色が9曲の平均、灰色が各曲。
  • 変化は小さく、31.5 Hz〜16 kHzでは全曲±1 dB以内。
  • 9曲平均では、63〜125 Hzが-0.2〜-0.3 dB。250 Hzから上はゆるやかに上がり、5〜12.5 kHzで+0.6 dB。低域を少し抑えて、高域側へ少し傾けた形。
  • 変化が一番大きいのはNakatani。63〜80 Hzが-0.6〜-0.7 dB、315 Hzから上が+0.5〜0.9 dB。
  • Neteroは80〜125 Hzが-0.5〜-0.7 dB。
  • Nosh FreestyleとKatagiは250 Hzより下がほぼそのままで、高域が+0.4〜0.5 dB。
  • Tenjoは高域の持ち上げが一番小さく、+0.3 dB以下。
01Shakunetsu02Nakatani03Netero04Yoake05Nosh Freestyle06Katagi07AM 4:00631k8k08Hanabi631k8k09Tenjo631k8k縦軸 ±1.5 dB / 横軸 25 Hz〜20 kHz
EQ CHANGE / TRACK曲ごとのマスター − ミックス
線より上が強調、下が抑えられた帯域。

どこのピークが抑えられたか

約0.17秒ごとに帯域の大きさを測り、その帯域の「大きい瞬間(上位1%)」と「ふだん(中央値)」の差が、ミックスからマスターでどれだけ縮んだかを見た。

0.0-0.5-1.031.5631252505001k2k4k8k16kHz(1/3オクターブ)
PEAK CHANGE帯域ごとのピークの縮み(9曲平均)
下に長いほど、その帯域の大きい瞬間が抑えられている。朱色は-0.35 dBより大きく縮んだ帯域。
  • ピークが一番抑えられているのは低域。31.5〜100 Hzで0.5〜1.0 dB縮み、一番大きいのは80 Hz(-1.0)。
  • 500 Hzより上はほとんど変わらない(±0.2 dB)。
  • 全体の音量は8〜12 LU上がっているが、帯域ごとに見ると、抑えられているのは主に低域の大きい瞬間。

※ 計測方法:マスターWAVとミックスWAVを、同じ方法でITU-R BS.1770の方式(K-weighting・ゲート)で計算。True Peakは8倍に補間した値、帯域はオクターブ帯ごとのエネルギーを、全体を0 dBとした相対値で出している。ミックスとマスターの帯域比較は、全体を同じ音量にそろえた長期平均スペクトルの差。使うメーターによって、小数点以下が少し違うことがある。